リーナの目を盗んで執務室へやって来た。



「失礼いたします」

「どうした?何かあったか?連絡もなく来るなんて珍しい」

「アレン様は?」

「アレンは今ファーガスと宰相のところだが…」

「アンドリュー様‼︎リーナもアレン様のことをステキだと言っていたの‼︎どうにかデートに誘うように仕向けられないかしら…」

「はははっ、仕事中なのだが」

「わかってます‼︎だって、早くしないと本当にリーナがお見合いしてしまう…」



悩み始めたアンドリュー様は、思い付いたかのように机の引き出しを開けた。



そこから取り出したのは王家の紋章付きの便箋。



これはアレだ。



私が何度もいただいた手紙と同じ『王族専用』の印。



招待状なんかにも絶対入っている、公的なもの。



「どうするのです…?」

「まぁ、少し代理を務めてもらうとする。ちょうどよく俺とキャシーに招待状が届いていてな。代わりに代理を立てようと思っていたところだ」



招待状は、伯爵家の夜会のようだった。