「それではフロントまでご案内させて頂きます」

私達が女性に連れられてフロントへ向かおうとした時、

「あの…
ホテルの中を見学して行っていいですか?」


奈緒が女性に尋ねた。

「えぇ、どうぞ。
御自由に見ていただいて構いませんよ。
それでは私は失礼させていただきますね」

女性は私達に気を利かせたのか、私達に一礼してから先に行ってしまった。

「やったー!
ねぇ、進也君。
この際だから色々見て行こ!」

「こら、子供じゃあるまいし…
そんなに騒ぐなよ」

「もう式場はここに決定ね!」

奈緒は私の話など耳に入らないようだ。