映画も終わり、みんな次々と帰っていくのに、片桐は立ち上がらない
「おい、片桐。映画終わったぞ」
私は一応声をかけたが、片桐はやっぱり起きない
ま、まさか…
「おい、片桐!まさか…お前……」
私は片桐を揺さぶったが、ビクともしない
こ、こいつ…
「宇川!!」
ちょうど席を立とうとした宇川を呼んだ
「何?」
「まさかと思うんだけど…片桐…こいつ、もしかして気絶してないか…?」
「はぁ?」
「ほら」
私は片桐の顔の前で手を上下に動かしてみた
試しに鞄で頭を叩いてもビクともしない…
「なっ?」
「はぁ…つまり、ここから運び出せと」
「だって、私じゃ絶対不可能だし。うん…」
まさか、気絶するなんて…
どんだけ怖がりなんだよ