なんとなく、友達について行っただけだった。

 8月の頭、私は友達のミカとお祭りに来ていた。ミカはカメラが大好きで、この日のお祭りの目的はステージ発表。小学生から成人まで、幅広い年齢で構成されている地元のチームが、和太鼓やよさこいでステージを盛り上げる。そんなチームの演舞を、カメラに収めようというのだ。

「早めにきて良かったね!いい場所取れた!」

カメラを片手に、ミカが嬉しそうにそう言う。

「そうだね!私、こういうの見たことなくて楽しみ!」

飛彩(ひいろ)、高1のときは来れなかったもんね。今年は一緒に来れて嬉しいよ!」

「うん、私も」

 昔から住んでいながら、今まで私はお祭りに興味がなく、ただ屋台をまわってプリクラを撮るだけだった。
ミカも中学まではそうだったが、高校に入ってできた3つ年上の彼氏が踊り子で、こうしてステージ発表を見ることに至った。

ミカと話をしていると、ステージにライトが点き、太鼓の音が鳴り響く。

「そろそろだね!」

「うん。」

太鼓と横笛の音に合わせて、キラキラした衣装に身を包んだ踊り子達が、ステージ上に現れる。

これが、私と彼の出会いだった。