俺の言葉にホッとしたのか

謝ったと同時に、涙をこぼし始めた。

「ごめん。」

抱き寄せて頭を撫でると

胸に当てた頭を左右に振って。

「違う。
…………………違うの…………………。
ごめんなさい。」と謝って、再び泣き始めた。

違う??

彼女の真意は分からないが、取り合えず俺の言葉で泣かせたから………

慰めることに徹した。

ポンポンと背中を叩くと、落ち着き始め

「…………………嘘を…………ついてたの……………。
ごめんなさい………………。」と謝りだした。

もちろん知っていたけれど

その事には触れず、先を促した。

「ホントは……………お仕事じゃないの………。
お稽古に行ってて………………。」

仕事じゃないとは分かってたけど…………お稽古??

「先生に内緒で…………………お料理を習ってて…………。
お誕生日に………一つでも食べてもらえたらって…………。
でも、私…………不器用で。
半年が過ぎても…………お味噌汁さえ一人で作れなくて…………。
後少しで……先生のお誕生日になっちゃうから
焦って、他の曜日にも入れてもらってたの………………。
先生を喜ばせる筈が………怒らせて……嫌な思いさせて……………。
本当にごめんなさい。」