──そんなわけで結局、結城くんとちゃんと話をすることはできなかった。


夕食を終え、食器を片付けながら時計を見る。


もうすぐ８時……。
さすがにもう帰ってるよね？

本当はちゃんと顔を見て話したかったけど……。


あたしはテーブルに置いていたスマホを手に取り、ソファに腰掛ける。

よし、結城くんに連絡してみよう……と、思った瞬間だった。


ピコンッという通知音と共に、震えたスマホ。

たった今、タイミングよく届いたばかりの通知を見て、息が止まりそうになった。

なぜなら……。


【姫乃、今家にいる？】


そうメッセージを送って来てくれたのは、結城くんだったから。


【うん！いるよ！】


ドキドキしたまま、すぐさまメッセージを返す。


どうしたんだろう。
もしかして電話とかしてくれるのかな？……なんて、そわそわしていると、


【今、姫乃の家の近くにいるんだけど、ちょっとだけ出て来れない？】


結城くんから届いたメッセージに、あたしは目を見開いた。