どうしてだろう……と、心の中で呟いた時、


「そりゃ結城くんからしたら良い気はしないでしょうよ」


茜ちゃんは何の疑問も抱いていないようで、あっさりと返事する。

「え?」と、あたしが首を傾げると、


「だって菜子、ついこの前西川先輩に告ったばっかじゃん。それなのにさ……自分の彼女を、この間まで好きだった人にとか、わざわざ近付けたりしたくないでしょ」

「……」


まるで当たり前のように言ってのけ、焼きそばパンをかじる茜ちゃん。

何も考えていなかったあたしは、ポカンとしたあとに「あー……」と、青い顔をする。


……そういうこと、だったんだ。

だからあたしが練習を見に行こうとした時も、結城くんはあんな顔をしたんだ。


茜ちゃんに言われて気付くとか遅い。

鈍すぎるよ、あたし……!!


「……で、どうすんの?」


あわあわと青くなるばかりのあたしの様子を眺めた後、口を開いた茜ちゃん。


「どうするって言われても……そんなの……」


結城くんの気持ちを考えたら話を受けるわけにもいかず……あたしは困った顔で茜ちゃんを見つめた。