「じゃあ、姫乃ちゃんにやってもらえばいいじゃん。その方が結城だって……」

「ダメだ」


ピシャリと結城くんは、中村くんの言葉を遮る。


「姫乃は部活とか考えてなかったみたいだし、それに……」


何かを言いかけて、じっとあたしの顔を見る結城くん。


な、何……?

ドキッとしながら、あたしが固まっていると、


「とにかく、姫乃がその気じゃないのに、無理にやらせるのは反対。マネージャーが一人抜けたぶんくらい、俺らで補えるじゃん」


結城くんは少し早口でそう言うと、「ラーメン伸びるから」と、中村くんの背中をポンと叩いて歩き出した。そして、


「さっき先輩が言ったこと、気にしなくていいから」


結城くんは一度振り向いて、あたしにそう告げた。