「菜子、西川先輩って……」


結城くんを横目で気にしながら、茜ちゃんが小声で問いかける。


言いたいことは分かっている。
先輩はあたしが告白した人……だから。

でも、サッカー部のマネージャーを頼まれただけ。


それを今、結城くんの前でどう茜ちゃんに伝えようか考えていると、


「結城!」


学食の方からそう名前を呼んで駆け寄ってきたのは、中村くん。

「いきなり出て行くから何事かと思ったら……姫乃ちゃんいたからか。てか今、西川先輩もいなかった?」

「あぁ……いた。姫乃のこと、マネージャーに勧誘してた」


首を傾げ訊ねた中村くんに、結城くんは眉を寄せ、何故だか不機嫌そうな顔をして答える。


「えっ、何で姫乃ちゃん?」

「中学ん時、西川先輩のとこの学校のマネージャーしてたんだよ」

「へー、そうだったんだ?」


中村くんに少し驚いた様子で言われ、あたしはこくんと頷いた。