「へぇー……」
先輩は目を丸くして、見るからに驚いた様子で返事する。
あたしが先輩に好きだと告白したのはつい先日のこと。
それなのに、もう結城くんと付き合ってるとか尻軽だと思われてもおかしくない。
先輩にはフラれてしまったとはいえ、気まずさにうつむく……と、
「菜子ー?」
あたしを助けてくれるみたいに、絶妙なタイミングで現れたのは、
「茜ちゃん……!!」
「結城くんと一緒だったんだ……って、そっちの人は……」
「はじめまして。三年でサッカー部の西川です」
「はじめまして、私は菜子の友達の坂井です。西川先輩……って、あっ……」
先輩のことは、ずっと前から茜ちゃんに相談していた。
だから、名前を聞いて気付いたようで、小さく声を上げるけど、
「友達も来たから話はこのへんで。マネージャーのこと、ちょっと考えてみて」
先輩はニコッと笑ってあたしに言うと、
「じゃあ部活でな」
結城くんの頭にポンっと手のひらを乗せて、あたし達に背を向けた。