「何してんですか、先輩」
あたしの顔の隣から急に聞こえてきた声。
ドキッとしてその声の方を向くと、あたしの真後ろに立っていたのは……結城くん、だった。
「あっ、えっ……!?」
「あぁ望、何ってマネの件ひめちゃんに頼もうと思って」
「なんで姫乃なんですか。マネなら他にいくらでも……」
「望もひめちゃんが中学の時にやってたの知ってるだろ? ひめちゃん真面目だし、気が効くし、やってくれたら絶対助かるじゃん」
結城くんの登場にびっくりして、声も出せないあたしを置いて、勝手に話を進めるふたり。そして、
「あ、そういえば日曜にゲーセンでふたりを見たんだけど……」
先輩がふと思い出したように、あたしと結城くんの顔を交互に見て聞いてきた。
「もしかしてふたりって……」
「付き合ってますけど」
今だ動転したまま、いや先輩の質問のせいで更に心拍数が上がったあたしの代わりに、さらりと告げたのは結城くん。