「あー……はいはい、これ以上はもう聞かないから落ち着いて」

「うぅ……」


ポンポンと茜ちゃんに肩を叩かれ、あたしは手のひらを退ける……けど。


「そうこうしてる間に、来たみたいだよ」

「へっ?」


急に足を止め、振り返った茜ちゃんに、つられるようにあたしも振り返ってみれば、


「おはよ」


そう言ってあたしに微笑んだのは、結城くん。


「おっ、おはよ!?」


ドキッとしながらも、慌てて挨拶を返す。すると、隣に立っていた茜ちゃんがニヤッと笑った。


「結城くん聞いて聞いてー。今、菜子がね……」

「やっ、やめて!!」


面白半分にからかおうとした茜ちゃんの口を急いで塞ぐ。そんなあたし達の様子に、結城くんはキョトンとしていて。

あたしは「あはは」と誤魔化すみたいに笑ったあと、茜ちゃんに向かって頬を膨らませた。


……もう、茜ちゃんのバカ!