『男性のみの入室はご遠慮ください』そう書かれたフロアに、あたしは結城くんを連れて入る。

彼氏とプリクラを撮る……っていうのも、長年憧れていた夢のひとつだった。


茜ちゃんはどのプリ機がよく盛れるとか、とても詳しいのだけど、あたしはそうでもなくて、適当に空いてるところに入る。

そして、「今度はあたしが」と、結城くんが財布を開く前に、小銭を入れた。

タッチパネルを少し操作して、あっという間に始まる撮影。


「なに、どうすればいいの?」

「えーっと」


なんてポーズに困っていると、カシャっとカメラの音。

画面に表示されたあたし達は、何だかちょっとぎこちない。


「もうちょっと近寄った方がいい?」

「あ、うん……」


2回目の撮影が始まって、結城くんは一歩あたしに近付く……けど。


ち、近い……!!

少し顔を動かせば触れてしまいそうな距離に、思わずドキッとする。

いや、いつも茜ちゃんと撮ってる距離の方が近いんだけど、でも……!!


緊張して上手く笑えないまま、カシャっと2回目のカメラの音が響き、やっと何とかピースサインが出来るようになった頃には、撮影は終わってしまった。