「っ……」


結城くんは顔を真っ赤にして、隠すみたいに顔を逸らした。


「そんな大したことしてない……」


騒がしい中、かろうじてあたしにだけ聞こえる声で返事した結城くん。


これは、もしかしなくても照れてる……のかな?


気付いたあたしはちょっとだけ恥ずかしくなって、でも何だかとても嬉しくて、ふふっと微笑んだ。


べつに特別な場所にいるわけじゃない。
だけど、ちょっとしたことが幸せで、楽しい。


今日の初デート、絶対に忘れたくないなぁ……。

あ、そうだ……!


「結城くん、ひとつお願い聞いてくれる?」

「なに?」

「一緒にプリ撮ろう!?」


あたしは興奮気味に言うと、先に歩き出して「こっちこっち!」と、結城くんを手招きした。