「え、結城く……」


これはもしかしなくても、あたしのために取ってくれようとしているってことで、「そんなのいいよ」と、声をかけようとする。

だけど、結城くんは真剣そのものな顔をしていて……。


「あー……」


マスコットにアームが引っかかりこそしたものの、少し浮いただけで取り出し口にはまだ遠い。

「残念だったね」と、あたしが諦めるみたいに言おうとすると、結城くんはまた百円玉を投入していて。


「え、ちょっと……」


止める間もなく、プレイすること5回。
やっとマスコットは、取り出し口へと落ちてきた。


「はい」

「わっ、ありがとう……!」


天使の羽が背中に生えた、ふわふわのクマのマスコット。
あたしがそれを受け取ると、結城くんは「どういたしまして」と、満足そうな顔をして微笑んだ。

あたしなんかのために悪いなって、思っていたけれど、結城くんのその表情に、素直に喜んでもいいのかなと思い直す。そして、


「大切にするねっ!」


マスコットをぎゅっと抱きしめるようにして、あたしも結城くんに笑いかけた。

すると、