「いや、あの、違うの! そういうわけじゃなくてっ……!!」


慌てたあたしは手を前に、ぶんぶんと首を横に振る。

足を止めた場所が悪すぎた。
こんなの誤解されかねないっていうか、高校生で、付き合ったばかりで婚約指輪見つめてるとか、イタイ奴じゃん……!

きっと今日一番顔を赤くして私が否定すると、結城くんは苦笑した。そして、


「じゃあ、ちょっとあそこ覗いていい?」


何事もなかったように結城くんが指さしたのは、ゲームセンターだった。



自動ドアが開いた瞬間、色んなゲームの混ざり合った騒がしい音が、あたし達を迎えた。

そして、入ってすぐのところから並んだクレーンゲームを、結城くんは見て回る……と。


「これ、取れそう」


そう呟いて足を止めたのは、チョコレートの大袋が景品として置いてあるゲームの前。

結城くんは百円玉を1枚入れると、横と縦の二つのボタンを押して動かし、


「あっ……」


チョコレートの袋の端を持ち上げた……と、思ったら、そのまま取り出し口へと滑り落ちた。