「隼人(はやと)先輩、好きですっ!付き合ってください!」


梅雨という時期らしく、連日続いていた雨。それが珍しく晴れた、6月のとある日。

4月に高校生になったばかりのあたし、姫乃 菜子(ひめの なこ)は、体育館裏というベタすぎる場所で告白をしていた。


相手は中学の時、部活で一緒だった西川 隼人(にしかわ はやと)先輩。

あたしはサッカー部のマネージャーで、先輩は部長だった。


「え、ひめちゃん……?」


あたしの告白を聞き、目を丸くする隼人先輩。

それもそのはず。先輩は2学年上だから、一緒に過ごした日数は少なく、交流はほとんどなくて。

好き……なんて言われても、いまいちピンと来ないと思う。……でも。


「隼人先輩にこの学校で再会して、運命だと思いました……!」


高校に入学してすぐ。

職員室の行き方が分からず迷子になっているあたしに、声をかけてきてくれたのが偶然にも先輩だった。


あの時からあたしの好きな人は、隼人先輩。

先輩の彼女になりたくて、意を決して告白することに決めた……の、だけど。