家の用事もあるんだろうし、さすがに引き止めるわけにはいかないと葛藤する。でも、今日は金曜日……。
「明日は部活お昼までだよね? 望くんは何か予定あるの?」
「あー……家の手伝いかな」
「そ、そうなんだ……」
意を決して聞いたのに、期待とは真逆の返事に、心の中でガックリと肩を落とす。
そんな気はしていたけれど、ほんの少しだけ『特に何もないよ』って言ってくれるんしゃないかと思ってしまった。そして……。
「もしかして、誘ってくれようとした?」
「へっ!? あっ、うん……予定空いてたらって、ちょっと思ったんだけど……」
「……」
あたしの返事に、望くんは何か考えるように「うーん」と唸る。
「あ、いいのいいの! 本当にちょっと考えただけだから!」
家のお手伝いなら仕方ないし、無理に予定を空けてもらうほどのデートプランを立てたりしていたわけじゃない。
「本当に?」
「ほんとに! また今度でも遊べるし!」
勢いはそのままにあたしが言うと、「じゃあ……ごめん」と、望くんは謝った。それから、
「夏休み、遊びに行こう」
静かに微笑んで言われた内容に、パアッと顔を明るくする。