「部活終わった後も自主練して、望が頑張ってんのは知ってる。だからこそ、そういうのは勿体ないと思って」
「……」
「先生とも相談して、実力のある奴は1年でも積極的に使っていこうって方向になってるし、望には期待してるんだ」
怒られると思っていたのに、真逆の展開。
優しく微笑んで言った隼人先輩に、ほんの少し拍子抜けする。
でも……良かった。
サッカーに対して、望くんがどれだけ真剣に取り組んでいるか、知っている。
だから、隼人先輩が望くんのことを認めてくれていることが、素直にとても嬉しい。
「ありがとうございます……」
望くんも驚いているのか、小声で返事をして。
「そういうことだから、ひめちゃんも協力してあげて」
「はっ、はいっ……!」
そうだよね……。
あたしも少しでも望くんが集中出来るように、協力しなくっちゃ。
『よし!』と声には出さないけど、心の中で意気込んでいると、
「分かってもらえたみたいで良かった」
先輩はホッとしたように微笑んだ後、壁にかけた時計をチラリと見て、「話はそういうことだから」と、まとめようとした……けれど。