王都スワイトホース

街の中心には大きな噴水が憩いの場として存在する。
レンガ作りの地面、にぎやかな屋台
子供たちは走り回り、商売人は威勢の良い声で客を呼び寄せる。
大人たちは談笑をしながらその日のパンや小麦粉を買って帰る。

その噴水の向こうに、長方形の巨大な建物がそびえ立っている。
そこが、王都スワイトホースの宮殿だ。
スワイトホースのシンボルである大きな時計が建物のてっぺんに備え付けられている。
時計盤には細かい細工が掘られていて、4つの宝石が埋め込まれている。

スワイトホースの人々は信心深く
時の神のシンボルである、宮殿の大時計に毎朝、かかさず祈る。

「今日も幸せな1日でありますように」



街の中心から外れた場所は
通称「虐げられた町」と呼ばれている。

にぎやかな街とは正反対に
ここは、路地裏のような狭い場所に
小さな家が数件、身を寄せ会うように建っている。

その、家の一件から
ハチミツ色の髪の少女が出てきた。
年齢は15.6だろうか。
アーモンドの形のような目は水色で
肌は透けるように白いのに唇だけは赤い。
ほっそりとした体に
水色のパフスリーブのワンピースを羽織っている。

少女は足早に夜の街へと消えていった。



夜の街は昼間とは売って変わって様相を変える。

男に体を売る女がそこら中に立って手招きしている。

男娼もいる。

そして、その夜の街には昼間は開くことはけしてない娼館があった。
白い壁に破風屋根、両開きの扉はオークでできていて開けるのには少し重い。
開けるときらびやかなシャンデリア
ホールには大きな階段が両側に取り付けられている。
そして、階段を上がるといくつかの部屋がある。

ハチミツ色の髪の少女はそこにいた。

胸が大きく開いた青いロイヤルブルーのドレスに身を包んでいる。
深い青が彼女の肌の白さを引き立てて
まだ、膨らみきっていない胸はかがむたびにドレスの胸元から見えそうで少し怖い。

しかし、そんなことを気にする様子もなく少女は男を値踏みした。
やがて、一人の老紳士に声をかけられる。
少女と老紳士は階段を上がって手前の部屋に入る。

少女が夜明けまで部屋から出てくることはなかった。