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彼女との日々が始まった。
朝の支度をして仕事へ行く。
いつもと違うのはここだ。
ユアが玄関まで見送ってくれる。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
気恥ずかしいがいつもよりも充実した気分だ。
帰宅後も、彼女がいる。
今までは、仕事から帰ると誰もいない暗い部屋
ため息をついて、風呂に入り、飯を食い
特に趣味もないからネットをぼんやり眺めて、あとは眠るだけ。
それが、毎日の繰り返しでうんざりしていた。
しかし、彼女が来てからの俺の生活は張り合いがある毎日になった。
「お帰りなさい」
「ただいま、今日はオムライス?」
食欲を刺激する香りが台所から立ち上っている。
「ええ、うまく作れてるか分からないけれど…」
ユアは白いワンピースを着ていた。
白い肌に溶け込みそうなほどによく似合う。
「ユアが作るものならきっとおいしい」
俺は椅子に座ってオムライスに手をつけた。
ユアもそれにならいオムライスを食べる。
ロボットなのに、どうやって食事をしているのか
機械に明るくない俺にはよくわからない。