朝。駅前の道は登校する高校生たちで混んでいる。
「うわ、やべー、遅刻する!」
ホームルームのチャイム10分前だからかみんな少し小走りである。
彼女もそのうちの1人。
はぁはぁと息を切らせながらも必死に走る。肩まである茶色の髪がさらさらと揺れる。
その懸命な姿に男子たちは目を追わずにはいられない。
校門をくぐり、下駄箱で上履きに履き替え、4階までかけのぼる。
なんで1年生の教室は4階なんだろう。
4階までのぼると、もう足はがたがただ。
キーンコーンカーンコーン
「あ!」
チャイムが鳴った。鳴り終わると遅刻が確定する。
彼女のクラスである6組はここからあと4つ先の教室である。
ん~…しょうがない!
彼女はギンと目を見開いた。
その瞬間いつの間に6組の教室の前に立っていた。
ガラッとドアを開けると、
「おはようございまぁす!!」
…コーン
ギリギリセーフである。