割れた窓のガラスの破片が派手に飛び散り、崩れかけた壁や天井。そこら中には赤黒い血の池が広がる。



　　　　　　　その光景はまるで『地獄』。




ここを学校の教室だと誰が想像できただろう。確かに数時間前までここで授業をしていたはずの生徒や先生の姿はもう、ない。



日が暮れていく。




教室の真ん中には座り込み、少女を抱き締める少年がいた。



少女は少年の腕の中で眠ったまま目を覚まさない。

彼女の闇のように黒い髪はふわふわと風になびく。白い頬には飛び散った血と乾いた涙の跡。




少年は泣きながら彼女をただ強く抱き締める。大声でひとり、泣き叫ぶ。








「一生かけて、償う。」


少年の声が静かに響く。小さいが低くて重い声だった。
うつむいていた彼は前を向き、赤い太陽を睨み付ける。その目はもう先ほど泣いていた少年のものではなかった。



「────ゆうき」


日が沈み、辺りが闇に堕ちる。


少年の獣のような金色の瞳が鋭く光る。