頑張れDさん‼︎第8話

あれから(パスワード解読事件)数日が過ぎた、ある朝、私は現場の案内と打ち合わせをするためDさんの勤めている会社の職人と待ち合わせをしていた。

その待ち合わせ場所はDさんの自宅近くのコンビニだった。

私は、少し早く着いたのでコーヒーとタバコを買おうと思いコンビニに入ろうとした。

「ネピオンさん、ネピオンさん」

「?・・・・」

小さな声で私を呼ぶ声が聞こえたので私は振り返った、そこにはワゴン車の陰に微妙な格好で身を隠したDさんが居た。

「お〜Dさん!」

「ネピオンさん、声デカいですよ〜」

Dさんは手招きをしてワゴン車の横に私を呼んだ。

「どうしたんだDさん」

私は、少し小さな声でDさんに尋ねた。

「マズいですよ〜」

「何がマズいんだ?」

「いや、奥さんが中にいるんですよ〜」

「?・・・あ〜」

「いや〜今日は俺、隣町の現場と言う事になっているんですよ〜」

「?・・・」

「だから〜今日はM美に隣り町の現場に行くから遅くなると言って家を出たんですよ〜」

「あ〜なるほど、でっ、何がマズいの?」

「いや、だって、ほら〜」

「・・・・」

「夕方にネピオンさんと会うから〜と」

「?・・・あ〜〜」
(Dさん俺をダシに使ったな)

「だから、ほら〜マズいですよ」

そんな事をDさんとコソコソ話していたら後ろから女性の声が聞こえた。

「・・・・ございます」

私は、後ろを振り向いた。

「おはようございます、ネピオンさん」


そこには、笑顔で可愛く挨拶するDさんの奥さんが立っていた。

「あ〜おはようございます奥さん」

私は少し動揺したが必死に平静を保ち挨拶を返した。

「何時も大輔が世話になってます。」

「いや、いや、こちらこそ」

挨拶を済ませた後M美さんはDさんに詰め寄り優しく尋ねた。

「アンタ、何でここにいるの?」

「あっ、いや〜ネッ、ネピオンさんと〜」

Dさんは歯切れ悪く答えていた。

「今日は隣り町って言ってたよね〜」

「あ〜うん・・・」

Dさんは必死に助けてくれとばかりに私を見た。

(まったくだなぁ〜)

私はDさんの奥さんに話しかけた。

「あ〜奥さん、今日は予定替えてもらって次の現場の打ち合わせにDさんも呼んだんですよ」

Dさんは首をコクコクして頷いた。

「あ〜そうなんですかぁ」

Dさんの奥さんは優しく答えた。

そこに、待ち合わせしていたDさんの勤めている会社の職人Kさんが現れた。

「お疲れ様です。ネピオンさん」

「お疲れ様さまKさん」

KさんはDさんに気がついた。

「あれ?Dさん、何で、こんな所にいるの?」

Dさんは必死にKさんに目で合図を送った。

「あっ、あ〜〜」←K

KさんはDさんの横に奥さんが居る事に気がつきDさんの合図を理解した。

「いや〜予定が替わってねぇ〜Dさんにも来てもらう事にしたんだよKさん」

「あ〜なるほど〜」←K

「そっ、そうなんだよ〜」←D

「あは、あはははは・・・」

三人は微妙に笑った。

その姿をM美さんは優しく睨んでいた。


(たっ頼むからDさん・・・こんな事で動揺しないでくれ・・・あっ!・・・Dさんは何故ここにいるんだ?)



       ・・・・続く・・・・