あはは、と明るく笑ってみせる香だけど、そんな彼女に、やはりどうしても違和感を覚える。
待たれていたことが嫌だった訳では勿論ないのだけれど、今までこういうことは一度もなかったから、何か特別な理由があるのでは?と思ってしまうのだった。


「あ。松永と篠原君も一緒に帰るところだった?」

「う、うん……あ、でも二人で帰ろうか?」

「ううん、四人で帰ろう!」

香は笑顔でそう答えるとこちらへ歩み寄ってきてーー何故か、私ではなく篠原君の隣へ並び立つ。

ん?と私が小さく首を傾げている隙に、香は篠原君に話しかけながら、スタスタと歩き始める。

そんな香の背中を見つめながら、私は自然と、松永君と隣同士を歩いていくことになった。


「そうだ。みずほ、今日の数学の課題、分かりそう?」

「え、あ、うーん。難しかったよね。家でゆっくり考えてみる」

「だよなー。俺、多分寝ちゃうけど」


松永君とそんな会話をしながらも、目の前を歩く香と篠原君の存在がつい気になってしまう。

何、話しているんだろう。香がたくさん話を振って、楽しそうだけど。


そんなことを考えていると、突然、香がパッとこちらに振り向いて、思わずドキッとする。


そして。



「みずほと松永、そうやって並んで歩いてると、凄くお似合いだね!」



……と、いきなり言ってきたのだ。



突然何、言い出すの……。