あまりに衝撃的な事実に、思わず目を見張る。

朝日君が……篠原君って……?


朝日君の顔はほとんど覚えていないから、顔を比べてみることは出来ない。
声も、あの頃の声とは当然変わっている。


だからすぐには「そうなんだね」なんて頷くことは出来ないけれど、本人がこう言っているのだから、間違いないのだろう。篠原君がこんな嘘を吐く理由なんてないし、お祭りの時のエピソードも、薄らとだけれど記憶にある。



「……でも、名字も名前も〝朝日〟じゃない……のは何で?」

「転校した後、親が離婚して名字が変わったから。小学生の頃、朝日梓って名前だった」

「あ、そうなんだね……」


他にも言うべきこと、聞きたいこと、色々あるはずなのに、とにかく驚きすぎて言葉が出てこない。



「……しつこいようだけど、あの頃、お前のことが好きだからいじめてた。とは言え、お前には嫌な思いをたくさんさせたと思う。ごめんな」

頭が追い付かなくて「う、うん」と答えることしか出来なかった。


朝日君が篠原君だったという事実にも勿論驚いているけど、篠原君が今気になっている相手も私……ってこと、だよね……?



「えっと……ごめん、何て答えたらいいか、ちょっと分からなくて……」

頭が酷く混乱している中、何とか思っていることを正直に伝えた。


すると、篠原君は。



「いいよ、今度から俺のことは無視して」