「え?」

「あ、いや……何でもない」


篠原君の発言に首を傾げると、彼が続けて口を開く。


「ていうかさ、お前、もしかして俺と松永が仲良しだと思ってる?」

「まあ、親友って感じはしないけど……」


篠原君と松永君は、性格も全然違うし、クラスでも二人同士の会話は少ない。
例の私と松永君のデートの日の二人の雰囲気からしても、仲が良い関係性だとは確かに思っていなかった。
でも二人とも、私の友達になってくれた良い人達だ。だからこそ、この二人がもっと仲良くなればいいなとも思う。

そもそも、彼らが同じ中学校出身だということは知っているけれど、その頃からの二人の関係って、そう言えば全然知らないや。



「松永とは、中学三年間クラスが一緒で、部活も一緒。だから関わりは多かったけど、それだけ。仲が良いって程じゃないし、多分お互いにどっちかというと苦手なタイプ。
俺は、いつもチャラチャラして女子をはべらしてる松永のことが苦手だし、あいつもあいつで、自分とは真逆の俺のことをとっつきにくいと思ってるんだよな」

「そうなんだ……」


だとしたら、今日二人をお祭りに誘ったのは、誤った選択肢だったかもしれない。
いくら篠原君と松永君に仲良くしてほしかったからとは言え、元々苦手意識を持ち合わせている者同士を勝手に誘うのは、完全に私のエゴだったかもしれない。