「そ、そうなんだ」

ということは、私のためにわざわざ買ってきてくれた……?


篠原君の考えていることが、いまいちよく分からない。


だけど、買ってもらったりんご飴は、とても甘く、美味しい。



「……最近、お前のこと少し避けてて、ごめん」

りんご飴の甘さを舌で感じていると、突然、篠原君からそんなことを言われたから、驚く。


「う、うん……」

ストレートに言われると、そう答えるしかない気がした。


「……私、何か悪いことしちゃったかな?」

何か彼の気に障ることをしてしまったのなら謝りたいと思い、そう聞いたのだけれど。


「……桜井は何も悪くない」

そう返される。じゃあ、何が原因なのだろうか?


その答えが知りたくて、篠原君の顔をじっと見つめた。

すると彼は私の視線に気付き、一度目を逸らしたものの、見つめ続ける私に観念したのか、再び私と視線を合わせた後でゆっくりと口を開く。



「……お前と松永が、仲良さそうだから」

「え?」

「あんなことがあったから、お前が松永とまた話すようになったのは少し意外だったけど……。告られたって言ってたもんな。付き合うの?」

「つっ、付き合わない!」


あれ? 私、何でこんなにムキになって否定しているのだろう……。


というか、私と松永君が仲良いから避けてたって、どういうことなのだろう。


もしかして……



「……やきもち、妬いたの?」

「……っ」

「私に松永君を取られたような気持ちになって?」

「そっち⁉︎」