とりあえず、メッセージを送っておいた。気付いてくれれば、すぐに連絡が取れるだろう。


「は、早く気付いてくれるといいね」

「ああ……」

「ね……」


どうしよう。何を話そう。
少し前までは、篠原君とはもう少し自然に話せていたのに、今は上手い会話が見付からない。
いっそ、何で最近少し素っ気ないの?と聞いてしまいたい。いや、聞けないけど。


……鼻緒が切れた私のことを気にして、肩を貸してくれた篠原君。
嫌われた訳ではないのだと、信じたい。



そんなことを考えていると、篠原君が口を開く。



「桜井」

「えっ? あ、はい」

「あのさ……」

「う、うん……」






「りんご飴、食う?」



……りんご飴?

何を言い出すのかと思ったら、りんご飴?


「えっと……」

「あ、いらなければいいんだけど。さっき、食べたいみたいなこと言ってたから。ここ、ちょうどりんご飴の屋台の裏だし、松永達を待ってる間にどうかと……」

「あ、う、うん。じゃあ買おうかな。えっと、お財布……」

「いいよ。俺が買ってくるから待ってて」

「え?」


止める間もなく、篠原君は屋台の方へと向かう。

すぐに、右手にりんご飴を一本持った彼が戻ってくる。


「お待たせ。ほら、りんご飴」

「あ、ありがとう。篠原君、自分の分は?」

りんご飴を受け取りながらそう尋ねると彼は。


「俺は甘いもの苦手だから」