「えぇっ⁉︎ 先輩も⁉︎」

「そうそう。その時のバスケ部員は途中で退部しちゃってるから、今はいないんだけどね。おおかた、その話を知ってる一部の部員が、今年の新入生にも同じことやらせたってことかな? 松永君とつるんでたのは誰? 私が明日シメとく」

「あっ、いえ、その、シメる、だなんて……!」

私は両手を顔の前でブンブンと横に振った。



「……どんなことがあっても私はマネージャーを頑張ろうと決めたので、仕返しとかは考えてないんです。ただ、松永君とどう接していいかはまだよく分からなくて」

そう話すと、結先輩は「まあ、そりゃそうだよね」と再び頷く。



「結先輩は騙された時、悲しくはなかったですか?」

「うーん。ムカつきはしたけど、男子なんてまだまだガキだから仕方ないかなって感じで諦めた」

「大人ですね……」

「そんなことないわよ。とにかく、傷付いたのはみずほちゃんなんだから、みずほちゃんが松永君を許せないなら、無理に許さなくていいと思う」


その言葉に、私も「はい……」と答えた。


そうだよね……。
少なくとも今はまだ、全て受け入れて消化出来なくてもいい、よね……?