「この間、松永が言ってたんだ。〝好きな子ほどいじめたくなる〟って言葉を。俺、その言葉嫌いなんだ」


だって、どんな理由があろうとも、人を傷付けていいはずがないから。



「だから、桜井には俺のことは話さないでほしい。その代わり、クラスであいつに何かあったら、俺が責任持ってあいつのこと助けるから」


頼む、と頭を下げると、天野は「……まあ、いいけど」と答えてくれる。



「みずほのこと、もう泣かさないでね」

「……ああ」


大丈夫だ。きっともう、間違わない。

想いを伝える気はないが、桜井の笑顔が増えるように、あいつのことを支えていきたい。