その理由というのは、至って単純。
小学生の頃、同じクラスだった男の子のイタズラで、大嫌いなカエルを引き出しに入れられたのだ。
他人からしたらたったそれだけのことかもしれないけれど、私からしたら大事件だった。あれ以来、男子のことを信用出来ず、中学でもずーっと香の陰に隠れ、男子を全員避けていた。


「でもさぁ、引き出しにカエル入れたあの男の子、みずほのことが好きだった訳じゃん?
男の子って、好きな子ほどいじめたくなるって言うし、そもそもラブレターもらってたじゃん!」

「まぁね……」

懐かしい。確かに私はあの男の子にラブレターをもらった。
小学三年生の冬。あの男の子が両親の仕事の都合で転校することになって、別れの日に校舎裏に呼び出されたっけ……。

カエルのイタズラについて、ごめんの一言は書かれていなかったけれど……



たった一言、


『ずっと好きでした』


と書かれていた。