篠原君とは、お互いしばらく無言のまま歩き続け、五分くらい歩いたところでたまたま目に入った公園に入ることにした。


公園では、子供達が楽しそうに走り回って遊んでいた。


篠原君には公園内のベンチに座ってもらい、私はその近くの水道でハンカチを濡らす。


「……赤くなってるところ、これで冷やして?」

そう言って彼にハンカチを渡しながら、私も彼の隣に、少し距離を開けて腰をおろした。



「……そんなに痛くないから大丈夫」

「ダメだよ……腫れちゃうから……」

おどおどしながらそう伝えると、篠原君はさっき殴られた頬にハンカチを当ててくれた。


どうしよう……篠原君に何て言えばいいんだろう。
こんなに迷惑掛けてしまって……合わせる顔もないよ。


だけど篠原君は私のせいで怪我をしてしまったのだから、ちゃんと謝らないと……


そう思い、口を開きかけると、



「悪かったな」


なぜか篠原君の方から謝ってきた。