それから一週間が経過した。
残念ながら何一つ夢ではなかったようで、私は今日も肩を落としながらトボトボと登校する。

商店街沿いのいつもの通学路は、日を追うごとに長い道のりに感じる。


「大丈夫だよ。そのうちすぐに友達出来るって!」

隣を歩く、親友の(かお)が、明るい調子でそう言いながら私の肩をポンと叩く。
天野(あまの)香は、親友でもあり、幼稚園の時からずっと家が近所の幼馴染み。
背が高く、手足もすらりと長くてまるでモデルのようなスタイルの香は、顔も美人で、おまけにスポーツも万能という、自慢の友達。
そんな香に誘われ、私もこの高校の受験を決意したのだけれど……せっかく香と同じ高校に通えることになったというのに、毎日気が重い。香は文系コースだから、教室も離れているし。


「無理だよ……私、香と違って男子と話すの本当に苦手なの」

「まあ、長い付き合いだしそれは私も理解してるつもりだけど……でも、この一週間誰とも会話してない訳じゃないでしょ?」

「話してないよ。たまーに気を遣って話しかけてくれる人もいるんだけど、何話していいか分からなくてすぐフリーズしちゃって」

「あらあら。みずほの男子苦手っぷりもほんと重症だよねぇ」

やや呆れながらそう話す香だけれど、幼馴染みである彼女は、私が男子を苦手となった理由もしっかりと知っているため、それ以上追及してくることはなかった。