何で?
どうして篠原君がこの場にいるの?
まさか、篠原君もグル?

……そう疑ったけれど、篠原君は松永君を鋭く睨み付けていて、グルには見えない……。



なぜか若干息を切らした様子の篠原君は、肩で息をしながら松永君に言う。


「やっと見つけた。ずっと探してたんだぞ」

「は? 何なの? ストーカーですか?」

「桜井とデートするって、お前の方から昨夜わざわざ得意げに電話してきたんだろうが! お前が何企んでるのか知ってて無視出来るか!」


え……?
篠原君は、松永君の計画を知ってたってこと?


……あ。それで、私がバスケ部のマネージャーになろうとした時、やめさせようとしてあんなこと言ったの?


……それなのに私は、松永君の甘い言葉にまんまと騙されて、篠原君の忠告を無視してしまった……。


そんな私のことを心配して、ずっと探し回っていてくれたの?



「正義のヒーローぶってるところ悪いけど、ちょっとからかっただけじゃん」

「お前……」

「ああ、ほら。好きな子ほどいじめたくなるってやつ?」

その言葉を聞いた瞬間、篠原君が松永君の胸ぐらを掴みーー顔を思い切り殴った。

殴られた松永君はバランスを崩し、その場に腰から崩れ落ちる。


「松永! 大丈夫か!」

「篠原、お前自分が何してるか分かってんのか!」

先輩達が篠原君に詰め寄ろうとするも、篠原君は一切気にしない様子で


「あんた達こそ、自分が何したか分かってんのかよ!」


と、言い返す。


篠原君……いつもクールで落ち着いていて、普段そんな風に怒ったりする人じゃないと思うのだけれど……


友達でもない私のことで、どうしてそんなに怒ってくれるの?