「何? どういうこと……?」

震える声でそう尋ねると、松永君が悪びれもなさそうな笑顔で答える。


「えっとね、先輩達と勝負してて」

「勝、負?」

「うん。一年生の女の子をマネージャーに支えたら三ポイント。その子が可愛かったらプラスニポイント。あ、みずほは可愛いから加点してもらえたよ!」

「……」

「で、連休前にデートに誘えたら五ポイント、そしてそのデートで告白してオーケーもらえたら十ポイント! ポイントが高かったら来年の夏に俺をバスケ部のキャプテンに推薦してくれるって話だったんだよねー」


……何、それ。


今まで言ってくれたことも、頬にされたキスも、全部、嘘だったってこと……?



「あっ、そんな顔しないでよ! 別に、みずほのこと嫌いとかバカにしてるとかじゃないって!」

私の肩に手をポンと置いて、松永君が笑顔で言う。


「俺、みずほのことは本当に可愛いと思ってるし、なんだったらマジで付き合ってもいいし」

「おい松永ー、それズルくね?」

「えー、別にいいじゃないですかあ〜」


松永君と先輩達が、面白おかしそうに笑う。

その笑い声が頭に響いて、目眩がする。


……あ。ヤバい。泣きそう……。


瞳に涙が溜まって、溢れてしまいそうになった、その時だった。



「……おいっ!」


突然、ある人物が私と松永君の間に割って入ってきた。


その人とはーー



「し、篠原君……?」