それでも、松永君は。


「うん。そうなのかなって思ってた。だけど、そんなところも含めて可愛いと思うから。俺、みずほのことずっと守っていくし」


その言葉に、きゅんと胸が疼く……。


まだはっきりとは分からないけれど、私、きっと松永君のことを好きになりかけてる……。



「俺のこと、今はまだ好きじゃなくてもいいよ。すぐに好きにさせてみせるから。だから少しでも可能性があるなら、俺と付き合ってくれないかな?」


私の気持ちが固まるのを、付き合いながら待ってくれるということ……?

そんな風に言ってもらえたら、どうしよう、凄く嬉しい。


「……うん」

私はゆっくりと頷いた。



「ほんと? 付き合ってくれるってことだよね?」

「う、うん……」

もう一度頷くと、松永君は「良かったー!」と分かりやすく喜んでくれる。


男子とお付き合いだなんて今まで全然考えたことなかったから、この先どうなるか分からない。
でも、そんな不安も緊張も、不思議と嫌ではなくて、全部ひっくるめて、これが恋なのかなって思った……。


……しかし。



「オーケーもらいましたーっ!」

松永君は私に背を向けて、どこかに向かって突然そう声をあげた。


何?


すると。



「マジかー、桜井さんはガード厳しいと思ったんだけどなー」

「そう? 松永に落とせない女なんていないだろ」

「俺もそう思うわ。ははっ」


……今まで近くの建物の陰に隠れていたらしい男の人達が三人、ぞろぞろと姿を現す。

……三人共、バスケ部の先輩達だった。