翌日。
十時五分前に待ち合わせの場所に向かうと、松永君が先に待っててくれていた。


「ご、ごめん、待った?」

「ううん? 今来たとこー。あ、みずほの私服、初めて見た! 超可愛い!」


……散々悩んだ挙句に私が選んだのは、前に香と買い物に出かけた時に購入した、薄いピンクのマキシ丈ワンピース。その上に白の薄手のカーディガンを羽織り、足元は白のビジューサンダル。

教室ではいつもおろしている長い髪も、ハーフアップにしてきた。

メイクは、し慣れていないから最小限だけれど……淡いピンク色のリップクリームをつけてきた。



というか……。

会って早々に私の服を褒めてくれた松永君だけど、松永君の方こそ私服姿がとってもかっこいい。

Tシャツの上から白のジャケットを羽織り、紺のデニムを履いている。

アクセサリーが制服姿の時と同じようにたくさん着いているため若干軽い感じもするけれど、それも含めてしっかりと似合っているから、彼の横を通り過ぎていく女性達はみんな彼に目を奪われていく。

……かくいう私も、そんな彼にドキドキしてしまっている。



「じゃあ移動するか。みずほ、どこか行きたいところある?」

明るく、いつもと変わらない様子で松永君はそう尋ねてくれるけれど。


「えっと……特には」

「あははっ。何となく、みずほならそう言うんじゃないかなーと思ってた! じゃあ、映画でも観に行こっか!」


映画なら、緊張しながら話す必要がないから有難いと思った。

うん、と頷くと、私達は駅から徒歩十分ほどのところにある映画館へと移動した。