高校では、松永と同じクラスだった。

松永とは、中学でもクラスメイトで、部活も一緒だった。

とは言え、特別仲が良い訳ではなかった。
どちらかと言えば、バスケではライバル視していたし、松永の方もそれは同じだったと思う。

松永の性格は俺とは対照的で、女子全員に愛想を振り撒き、本人もそれを楽しんでいた。

好きでもない女子に必要以上に優しくし、相手を勘違いさせることも何度もあり……いい加減にしろと何度も思った。
だが、小学生時代、好きな女の子にすら優しく出来なかった俺に比べたら、松永の方がうわ手なのかもしれない。


そんな松永と再びクラスメイトということで、先行きが少々不安ではあったが、そう言えばこのクラスは女子が一人だけだと聞いていたことを、ふと思い出した。


まあ、だから何だということもないが。
女子好きな松永はガッカリするかもしれないが、俺は女子と話すことはほとんどないし、周りは男子だらけの方が気楽だ。



……そんなことを考えていたら、教室に女子が入ってきた。
俺の席からだと顔は見えないが、髪が長くて細身の女子だった。
……体重軽そう。
ふと、小学生の頃に桜井のことをおんぶしたことを思い出した。あれは軽かった。


……って。いつまで桜井のことを引きずってるんだ、俺は。


心の中で自分に一喝した時、さっき教室に入ってきた女子が、教室をきょろきょろと見渡し始めた。本当に自分以外に女子がいないのか確認しているのだろう。


……その時に、その女子の顔が見えた。それはまさかの、桜井みずほだった……。