「ごめんなさい! 私、急に出かけないといけなくなっちゃって! みずほちゃん、せっかく来てもらったのに申し訳ないんだけど、今日は外でデートしてきてくれるかなぁ?」

梓君のお母さんは、顔の前で両手をパンと合わせ、私にそう言った。


「あっ、はい。分かりました」

「いや、何でたよ。せっかく来てもらったんだから家にいてもいいだろ」

と、梓君は言うけれど。


「何言ってるのよ! 高校生のカップルが家に二人きりなんて駄目っ! よその家では良くても、うちは駄目っ!」

と、梓君のお母さんがはっきり言う。

私も、この家で梓君と二人きりは緊張してしまいそうだから、梓君のお母さんが出かけるのなら私達も外に出た方が気が楽かもしれないなと思った。


「分かったよ。じゃあ着替えてくるから、みずほ、ちょっと待ってて」

「うん。あ、カップ洗っておきます」

「あっ、いいのよいいのよ! 座ってゆっくりてて! その代わり、また絶対遊びに来てね!」

「はい。是非」

「その時は、今度こそ昔のアルバム見ましょうね!」

「はい! 楽しみにしています!」


梓君のお母さんとそんな会話を交わしていると、梓君が部屋から戻ってくる。


そして、梓君と一緒に、梓君のお家を後にした。