「あ、お、お久し振りです!」

「高校生になったみずほちゃんに会えるのを凄く楽しみにしてたのよー! こんなに綺麗になっちゃって!」

「そ、そんな」

「母さん、困らせるなよ」

梓君はぴしゃりとそう言い放つと、私をリビングの方へと誘導してくれる。


「そこ、適当に座って」

そう促されたのは、リビングのテーブルの前。
大きめのガラステーブルの前に、白のソファが置かれていて、「失礼します」と言ってから座らせてもらう。

私の横に梓君も腰をおろすと、梓君のお母さんがコーヒーを持ってきてくれた。


「どうぞ、みずほちゃん。あ、コーヒー飲める?」

「ありがとうございます。コーヒー、好きです」

湯気の出ているコーヒーカップを受け取り、手元に置く。


梓君のお母さんは、テーブルを挟んだ正面に座ると、私と梓君の顔をじっと見つめる。そして。


「まさか、あなた達が付き合うとはね!」


嬉しそうに笑いながらそう言ってくれた。


「驚きますよね。小学生の頃のクラスメイトと、まさか高校生になってから再会して付き合うことになるなんて」

私がそう答えると、梓君のお母さんは「それも驚きだけど……」と前置きしてから、



「梓が小学生の頃からみずほちゃんのこと好きだったの知ってたから、余計にびっくり!」



と、続けたのだった。

梓君が私の隣で、「げほっ」とコーヒーを吐き出しそうになりつつ、むせている。