「……という訳で、お前が誤解するようなことは何もない」

「は、はい。すみませんでした」

あまりに申し訳なくて、思わず敬語になってしまう。


「いや、いいんだ。俺ももっとはっきり言っておけば良かった。それに……」

「それに?」

「……いや」

そう言って、フイッと顔を背ける篠原君が、何を言おうとしたのか気になってしまう。


「何? 教えて」

「いいって」

「言ってくれなきゃ、また誤解しちゃうかもしれないから」


こんなに嫉妬してしまうほどに自分は篠原君のことが大好きなんだ、と改めて再認識は出来たものの、嫉妬がこんなにもエネルギーを使うものだということも、初めて知った。
嫉妬をしたのは、私が誤解をしてしまったから。出来ることなら、今後は余計な誤解はしたくない。

すると篠原君は、気まずそうにゆっくりと口を開く。そして。


「……嫉妬されたのは嬉しかった、って思わず言いそうになったんだよ」


口元に手を充てて、恥ずかしそうにそう答えてくれた。


「えっ、嬉しい……?」

「聞き返すな」

「だ、だって」


まさかそんな風に思ってくれているなんて夢にも思わなかった。

だって篠原君はいつもクールだし、今日だって素っ気なくて……


ん? 私、何か忘れているような。


そうだ!



「ご、ごめん! この後、すぐ着替えるから!」

突然、脈絡のないことを言い出した私に、篠原君が「え?」と聞き返す。