「え?」

誰と誰がと聞かれても……そんなの言うまでもなく。


「篠原君と莉由さん」


私がそう答えると、篠原君は「はあー」と深い溜息を吐いた。


「何でそんなことになってるんだよ」

「え? だって仲良いし、松永君が言ってたから。莉由さんは篠原君の元カノだって」

「あいつ……。完璧に騙されてるぞ、お前」

「騙されてる?」


と言うと、もしかして莉由さんは篠原君の元カノではない……?



「莉由は、いとこだ」


篠原君のその発言に、私の思考回路は一瞬停止しかける。


「いと、こ?」

「ああ。まあ、確かに仲良く見えていたかもしれないけど、それは妹同然の存在だからだってだけだ」

「妹……」

「莉由だって、俺のことは兄みたいに思ってるだけだよ。あいつ、同い年の彼氏いるし」


そ、そうだったの……⁉︎
じゃあ、完全に私の勘違い⁉︎

いや、勘違いもあるけど、完全に松永君にからかわれた……!



「で、でも、いとこならいとこって、早く言ってくれれば良かったのに」

「言おうとしただろ、映画館で。けど、お前がそれを遮るから」


……もしかして、パンフレットの列に並ぼうとした時?確かにあの時、何かを言いかけた篠原君の言葉を遮った記憶がある。

あの時、彼の言葉をちゃんと聞いていれば良かった……!