そして。
「はーい。着替えたみずほを連れてきましたー!」
香に手伝ってもらってメイド服に着替えた私は、あまりの恥ずかしさから香の後ろに隠れながら、クラスメイト達の待つ屋台へと戻った。
「おー! マジで可愛いじゃん、みずほ!」
松永君を筆頭に、他のクラスメイト達も私の格好を褒めてくれるけれど……恥ずかしいことに変わりはない。
肌の露出は少ないし、生地の色も地味めだけれど、こんなにフリルが多い甘いデザインのメイド服が私に似合っているとは思えない。
ヘッドドレスにはフリルだけではなく、左右にピンクのリボンまで着いていて、本当に恥ずかしい。
最近の松永君は女の子に対して、お世辞とかうわべの言葉を言わないようになった。
だから今は、恐らく本心で〝可愛い〟と言ってくれているのだと思うけれど、やっぱり恥ずかしいし、こんな服、絶対似合っていないと思う。
「もう、ほんとにやだ〜……何で私がこんな格好……!」
いつまでもグダグダと弱音を吐く私に、松永君は
「仕方ないだろ。うちのクラスは男子ばっかりなんだから。男子のみで客引きしたって、男性客は来てくれないだろ」
と言い放つ。
くぅ……少し前までの松永君なら、こんなことさせようとはしなかったはずなのに……!