「えーと……?」

「屋台で販売する以上、利益は欲しいと思うじゃん?」

「う、うん。そうだね?」

「でもさ、普通にやってても他のクラスと同じくらいの利益しか出ないと思わねぇ?」

「そ、そうかな」


何だろう。言っていることはもっともかもしれないけれど、話しながらずいずいと詰め寄られて、怖いぞ?


すると松永君は、後ろ手に持っていた物を私の前にバッと差し出す。


「という訳で、みずほ! これを着てくれ!」


目の前に差し出されたそれは……どこで買ってきたのか、フリルのたくさん付いたメイド服だった。



「な、何これ⁉︎」

「みずほがこれを着て客引きしてくれれば、売り上げが劇的に伸びると思うんだ!」

「嫌だよ⁉︎」


見たところ露出はあまりなさそうだけれど、だからってこんな服を着て客引きなんて無理!


しかし、松永君だけではなく他のクラスメイト達からも。


「頼むよ、桜井さん!」

「やるからには売り上げ順位、上位を狙いたいんだよ!」

「俺達も協力するからさ!」


え、え〜⁉︎


気が付いたら、クラスメイト達に四方八方を塞がれている。
まさに、四面楚歌。
皆からこうもグイグイこられたら、全力で断りたいのに断り辛い‼︎



「さあさあ、みずほ! 着替えておいで!」

「え、えぇ〜⁉︎ あっ、香、助けて!」

ナイスタイミングで、屋台の近くを香が通りかかった。
神の助け!
困った顔の私を見て、香はすぐにこっちに駆け寄ってきてくれた。