そんなことを考えながら、彼の元へと駆け寄る。


「篠原君、お待たせ」

私の声に反応した彼はこちらへ振り向きーーそして、私の姿を見て、黙り込む。


「篠原君?」

え、何で黙るの? 私、変な格好してる? もしかしてこういう服とか髪とか、全然好みじゃなかったとか!?


と、軽くパニックになっていると、そんな私の異変に気付いたのか、篠原君が慌てたように「あ、違う。ごめん」と言ってくる。


「ごめん、とは……?」

いまいち意味が分からなくて、やっぱり不安になるけれど。


「……私服と髪の毛が、その。……可愛かったから」

「!」


カァッと顔に熱が集中してしまう。
私服を見せるのは初めてではないけれど、前に本屋でバッタリ会った時は適当な服着てたもんな……。
それに、髪も褒められた!今度、学校にも三つ編みしていこう……。



「し、篠原君の私服もかっこいいよ」

「……お前はそういうこと言わなくていいから。さ、行くぞ」

「う、うん」

隣同士を歩いて、映画館へ向かうことにした。