そして、約束の日曜日。


「お母さん、この格好変じゃない?」

鏡の前で何度も自分の姿を確認したけれど、最終的にはお母さんに見てもらうことにした。

紺色ベースの膝丈ワンピースに、白色の薄手のカーディガン、足元には黒のパンプスを合わせた。
全体的に無難と言えば無難だけれど、女の子らしい格好を心がけた。
服装が大人しい為、髪型は珍しく緩めの三つ編みにしてみて、バッグもお気に入りの水色のハンドバッグだ。


「いいんじゃない? 可愛いわよ」

思ったことは何でもはっきり口にするお母さんがそう言ったので、この格好大丈夫だ、とふぅと息を吐きながら一安心する。


「今日は随分とオシャレして出かけるのね。一緒に出かけるの、香ちゃんでしょ?」

そ、そうだった。お母さんには、香とお茶をしに行くって言ってあるんだった。

……男の子とデート、と報告するのは、まだ少し、恥ずかしい。


「う、うん。たまにはね。香はいつもオシャレだしさ。じゃ、じゃあ行ってきます!」

下手に喋り続けてボロが出ないよう、私はサッと家を後にした。