付き合い始めてしばらく経つけれど、部活が忙しくてデートらしいデートはまだしたことがなかった。


だからこれは、篠原君との初デートの約束だ。



「う、うんっ、勿論っ」

「……じゃあ、どこ行くかとかはまた決めよ」

「わ、分かったっ」

嬉しすぎて動揺している私とは違い、篠原君は至って落ち着いている。

……でも、いつもより少しだけだけど照れているのも伝わってきて、余計に嬉しくなる。


普段はポーカーフェイスな篠原君。
そんな彼の特別な表情をすぐ近くで見れるのは、彼女である自分だけの特権かもしれない。


電車の時間もあるのでその場はすぐに別れ、緩んでしまう頬を何とか抑えながら帰路についた。