しかし、いじめが終わる気配などなく、一週間が経った。

朝、教室に入ろうとしたところで「桜井さん」と背後から名前を呼ばれる。
反射的に振り向くと、振り向いたその瞬間、携帯で写真を撮られた。


「え……?」

当然、困惑してしまう。
目の前には、先日私を用具入れに閉じ込めた例の黒髪の子と、その両脇に数人の女の子達。

黒髪の子は、携帯の画面を操作しながら、笑ってこんなことを言う。


「男好きのあんたに代わって、うちらがあんたの写真、出会い系アプリに乗せといてあげるね」


え……?

サーッと全身の血の気が引いていくのが分かる。



「や、やめてっ」

「やめませーん」

「アプリで多少加工しといてやるから安心しな」


嫌だ。そんなことされるのは本当に恐怖でしかない。
何でここまでするの? どうして……


誰か助けてーー



叫ぶように願った、その時だった。



「そういうことかよ」


彼女達の背後から、聞き慣れた声が聞こえた。

彼女達は、引きつった顔でゆっくりと振り向く。


そこに立っていたのは、怖い顔をした篠原君と松永君だった。



「最近、桜井の様子がおかしいと思って様子見てたら、まさかいじめられてたとはな」

篠原君は女の子達を睨み付けながら、いつもより低い声でそう言った。


「い、いじめてなんか……ちょっとじゃれてただけだよー。誤解しないで?」

黒髪の子がそう言うも、篠原君は聞く耳を持たず、その子の手元から携帯を奪う。
そして、保存されたばかりの私の写真を削除した。