立ち入り禁止になっている屋上前の階段の踊り場は誰も来ないことを知っていたから、私はそこへ向かった。
誰もいないその場所は、当然誰からの視線を受けることもなく、少しだけ気持ちも落ち着き始める。
それでも、目を瞑るとさっきの出来事がすぐにフラッシュバックしてくる。
事実ではないことを噂され、嫌悪の視線を浴びせられた。
……教室に戻りたくない。そう思った。
その時。
「桜井っ」
聞き覚えのある声が聞こえて振り向くと、篠原君と松永君が、息を切らして階段をのぼってきた。
私を追いかけてきてくれたようだ。
「二人共……何で……」
「教室に入ったら変な空気だったから。何があったか全部聞いた。……一人で嫌な思いさせて悪かった」
篠原君がそう謝ってくれた。篠原君が謝ることではないのに……。
そして松永君も、
「あの女子、中学の時から俺らのちょっとストーカーっつうか……俺らと会話する女子を全員目の敵にするようなところがあるんだよ。だからみずほが悪いんじゃない。気にするな」
そう言って、私を励ましてくれた。
さっきのような事態になったのは、二人のせいじゃない。そもそも、私がはっきりと〝そうじゃない〟って反論すれば良かっただけのこと。
……それは、分かってるのに……。
「わ、私のことはいいから、二人共、教室戻ってっ」
せっかく追いかけてきてくれた二人に、そんな言い方をしてしまう。
二人と一緒にいるところを誰かに見られたら、また何か言われてしまうと思ってしまったから。
誰もいないその場所は、当然誰からの視線を受けることもなく、少しだけ気持ちも落ち着き始める。
それでも、目を瞑るとさっきの出来事がすぐにフラッシュバックしてくる。
事実ではないことを噂され、嫌悪の視線を浴びせられた。
……教室に戻りたくない。そう思った。
その時。
「桜井っ」
聞き覚えのある声が聞こえて振り向くと、篠原君と松永君が、息を切らして階段をのぼってきた。
私を追いかけてきてくれたようだ。
「二人共……何で……」
「教室に入ったら変な空気だったから。何があったか全部聞いた。……一人で嫌な思いさせて悪かった」
篠原君がそう謝ってくれた。篠原君が謝ることではないのに……。
そして松永君も、
「あの女子、中学の時から俺らのちょっとストーカーっつうか……俺らと会話する女子を全員目の敵にするようなところがあるんだよ。だからみずほが悪いんじゃない。気にするな」
そう言って、私を励ましてくれた。
さっきのような事態になったのは、二人のせいじゃない。そもそも、私がはっきりと〝そうじゃない〟って反論すれば良かっただけのこと。
……それは、分かってるのに……。
「わ、私のことはいいから、二人共、教室戻ってっ」
せっかく追いかけてきてくれた二人に、そんな言い方をしてしまう。
二人と一緒にいるところを誰かに見られたら、また何か言われてしまうと思ってしまったから。